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建築家プロ集団 イベント報告・オープンハウス

 
< 龍安寺の家 >
設計者 株式会社 メガ  長坂 大
日時 平成18年4月8日  
所在地 京都市右京区龍安寺
 
密集する静かな住宅地、隣家同士はほぼ接する形でその家は佇んでいた。外壁は濃いグレー(ほぼ黒に近い)に軒裏は木の垂木の表し、大きな開口部が印象的な家。見学に伺ったときはすでに設計者の長坂氏関係者が多数押し寄せ、玄関には無数の履物が渋滞を作っていた。

玄関から室内に入ると左手は浴室洗面などの水廻り、右手はLDKへと空間は広がっていた。水廻りでまず目を引くのは天井材。燦燦と上部から淡い光が差し込み非常に明るい空間となっている。天井材はコンクリート打設時に使用する半透明の型枠材。これが屋根になっており上部全面から直接光が入ってくる構造となっているためとにかく明るい。水廻り特有の暗く湿った空気は微塵も感じない。あとは夏場の対処が問題である。これは換気扇のほかに大きな開放可能な開口が設けてある。これによって夏の熱気を逃がす方法を取っているようだ。

さてLDKは一人のための住空間ということだが非常にゆとりのある空間構成となっている。屋根形状が奥に向かって下る片流れで傾斜部を利用しロフトと呼ぶには大きすぎる(マスターベッドスペースと呼ぶべきか)スペースが上部にある。この一体の空間は平面の動きだけでなく立体的動作により視線の変化がもたらされ空間の余裕と遊びが同居する心地よいエリアとなっている。床はキッチンダイニング部分は深い緑のタイルを使用し、それより奥は無垢のフローリングを貼っている。この深い緑のタイルは水廻りおよび玄関と共通で、黒い外壁との色関係が非常に良い相乗効果を出している。内部の壁は長坂氏特有の構造用合板の仕上で木素材が室内面に表されている。ロフトに隣接する宙に浮く収納のみ白いペイントを施され異物体を感じさせる。個室を設けないこの空間は住宅全体に光を取りこみ、ゆとりや安息、快適という空間を創り出している。