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建築家プロ集団 イベント報告・オープンハウス

 
< 四日市の家 >
設計者 株式会社 メガ  長坂 大
日時 平成17年11月13日  
所在地 三重県四日市市
 
四日市中心街よりおよそ西に直線距離3キロほど移動した住宅地の一角に当該敷地は位置する。ただ徒歩10分圏内に大規模商業施設や飲食店が並び、閑静な住宅地でありながら利便性にも優れている好条件を備えた立地である。

その立地の中、静かにたたずみ、しっとりと周囲の環境に溶けこむかのような住宅がこの<四日市の家>。設計監理は株式会社メガの長坂大氏。およそ540uという広大な敷地は三角定規のような敷地形状でなだらかな傾斜をともなっていた。延床面積は132uと一般住宅をさほどスケール感の相違は無いが、第一印象はそれ以上に感じる。まず道路に沿って桜の木が堂々と立ち並んでいるのだが、その後ろに黒の立板が塀のように配されている。その塀の天端からおよそ3、40cm程度上がったところに軒下が来るので、道路からの視線はほとんど桜の木と黒の木製の板となる。

建物自体は平屋で屋根もほぼ陸屋根。外壁の多くの色は黒であるが軒部分のみ木の色を表し、その様相は黒い箱に分厚い木の板が乗っているように見える。外壁は一部既製品の黒のサイディングを使用しているのだが、既製品が出す安っぽさは微塵も感じない。それと窓も既製品を使用しているのだが、掃出し窓の取付位置やフィックス窓との融合で質感とデザインの向上が行われており、長坂氏の設計力の高さに当方は終始感動していた。


高級な素材と言い難いものも使い方によって上質の空間を演出するものに変換可能なのだと実感した。ただそれが実現するのも設計者の設計能力と経験が必要になるのは言うまでも無いことだが。
京都から片道3時間掛かったが、本当に見学させていただいて心から良かったと思っている。本当はもっともっと語りたいことが山ほどあるのだが、切りが無いのでOFFにさせていただくことにする。改めて建築家の住宅のすばらしさを感じた日であった。